すたこらサッちゃん、昭和を生きて
44・1・7 みぞれ

小さなゲージに 二羽づつ押しこめられて 通風・採光・栄養満点 悪臭のないマルト 新城養鶏場で でっかい卵を産んでゐる       トリたちは まるで 受験待ちの 予備校生のように 羽ばたかない。

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
春や昔十五万石の城下哉  子規

 伊予に生まれた子規大人の山脈は、今や、駘蕩として視野を広げ俳句の花は全国に咲き匂うている。此の五・七・五の短詩型が、日本人の性質に相性が良いのであろう。  扨、その名もやさしき愛媛の国は、前方を瀬戸内海の漣に手毬のよう […]

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
受験生 43・5

息子がとうとう 受験地獄に入った 秀才ではなかったので セメダインで 机にはりつけられた      みたいに ガリゴリ勉強してゐる この母ちゃんは 電車にのっても 受験生をみると 席をゆずってやりたくなる

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
お遍路さん

 菜の花が咲いた。晴れわたる空の下、金粉まみれの菜の花畠を見ているとついつい、頃は良し、お遍土に(と伊予生まれの者は言う)でようか今年こそ、と思ってしまう。  お大師さんと同行二人の旅をさせて頂く。何の為などと理屈はいら […]

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
納豆

 馬の背に跨っていた煮豆が、納豆に化けたのは、遠い昔山野にまだ、魑魅魍魎が跋扈していた頃である。  まれにみる将器といわれた、かの八幡太郎義家が、奥州平定の意気に燃えたち北上した古道筋には、今も名物の納豆が多い。前九年の […]

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
南画の大先生 志染さんの絵

宝ものもろた いい絵をもろた 一所懸命みつめた 美人でも山でも字でも 一所けんめいみ入るのが 私の癖だ こうして いつ迄もいつ迄も目の奥で みつめてゐると それが じわじわと 心の中にはいりこんできて 私が ぼんやりと […]

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Column
百年たったら

十年一昔というが、此の夏、百年を一気に、わし掴むようなことに出合った。 同じ新玉町に生まれた気易さから(正岡家は、そのあと、この家を売却、湊町に移転)、ついつい子規巨星の一端を書かせて頂いたことの無遠慮さを、お詫びせねば […]

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すたこらサッちゃん、昭和を生きて
はじめに

作手村に暮らす「すたこらサっちゃん」。 昔はもっとましだったと、容姿の衰えをいつも気にする、かわいい おばあちゃんです。 そしてそのかわいいおばあちゃん、いったん口を開くと、ブレヒトの言葉が飛び出すやら、カントやらゲーテ […]

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